今回のスーツは、明るいスカイブルーのオートミール・ウールを使用したスリーピースのスーツである。このスーツは、沖坂氏が Draper's Bench を退社後、正式に SAVOY dressmaker を立ち上げる前の初期の頃に仕立てていただいた、私にとっては記念すべき第一着目のスーツである。


  
仕様は Draper's Bench の頃からの馴染みのスタイルであるシングルブレスト三ツ釦ピークドラペル。



使用した生地はスカイブルーのオートミール(=oatmeal)。英国はヨークシャーのSaddleworthという生地メーカーのデッドストック生地である。オートミール(=oatmeal)という生地は、別名「バリーコーン」(=麦粒柄)とも呼ばれるもので、縦に白糸、横に有色糸を配して大粒の麦状に織られた生地のことを言う。横糸に使われる糸は黒や茶系が多いらしいが、本品は珍しいスカイブルーの色の糸で織られたもの。実際に見ると、手触りは非常に柔らかく、また光の当たり具合によってスカイブルーの色味が微妙な光沢を伴いながら変化する、独特の雰囲気をもったものである。沖坂氏は Draper's Bench の頃から、しばしばこうした鮮やかな色味の生地をチョイスしていた。


 
今回の生地は本来縫製しやすい秋冬物の生地であるにも関わらず、とても柔らかい生地であったため、縫製職人がシルエットを出すのに大変苦労したとの話であった。

ウエストコート。裾のカーブしたラインが美しい。


シャツは Draper's Bench で購入した、
ロングポイントのボーダー(横)ストライプのクレリック。
胸ポケットのチーフはTVフォールドにしてみた。
クラバットは Draper's Bench のもの。シャンパンゴールドの地にブルー、ホワイト、ブラウンのラインによる格子柄が構成された、チャーミングな1本。首元をタイバーで締めた。僅かだが横に配されたシャツのストライプが覗く。ボーダーストライプのドレスシャツは、現代ではあまり見かけないが当時はしばしば見かけたもので、個人的には特にフレッド・アステアが着ていたポートレートがとても印象に残っている。








肩のロープド・ショルダー、
胸からウエストへのシェイプ・ラインが美しい。



心地よい秋の日に、小洒落て装いたい一着。




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