今回のスーツは、SAVOY dressmaker にて仕立てた春夏シーズンの明るいライトグレイのスリーピースである。夏場はどうしても暑くてだらしなくなりがちだが、往年の紳士達は、より夏らしい素材を利用して様々にスーツを誂え装い「物理的な暑さ」に対して涼しげな「気分」を演出していた。装いにもそうした「情緒」とか「文化」があったように感じる。

  
全体の画像。ウエストの抑揚の効いたラインが良い雰囲気である。


生地は英国PARKLAND社のデッドストック。このメーカーはミルメーカー(=生地工場)ではなく、様々な生地を仕入れて、テーラーやアパレルメーカーに提供していたマーチャント(=繊維商社)だったようです、との説明をSAVOY dressmaker の沖坂氏に受けたのを憶えている。。トロピカルウーステッドの表面はシャリ感のある表情で、明るいライトグレイの色味が夏の気分を盛り上げる。見た瞬間に即決した生地であった。


 
シングルブレストにピークドラペルの上着。ウエストのシェイプが素晴らしい。SAVOY dressmaker 沖坂氏は釦を黒系や茶系ではなく、薄いモスグリーンであわせてきた。不思議と全体の雰囲気にマッチしてより夏らしい雰囲気を漂わせる。トロピカルウーステッドの生地は秋冬物のような堅くて重い生地と違い大変薄く、シルエットを出すのに縫製職人が大変苦労したとのことであった。

ウエストコート。夏のスーツだが、あえてツーピースではなく頑固にスリーピースとした。ウエストコートのポケットは4つ。フラップをつけるといったイジリはせずにシンプルに仕上げていただいた。

あわせたシャツはロングポイントではなく、レギュラーカラーをあわせた。
胸ポケットのチーフはTVフォールドに。
クラバットはSAVOY dressmakerが少量のみ生産したものをで購入させていただいたもの。
大柄のハウンド・トゥースは現代では比較的珍しいかもしれない。
僅かに見えるタイスライダーはヴィンテージのもの。


ビジネスでも、また夏のリゾート地での畏まった装いにも
映える夏らしい一着に仕立てあがった。





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