グランド・ホテル 特別版 "GRAND HOTEL"
1932年 アメリカ作品
監督/エドマンド・グールディング
原作/ヴィキ・バウム

出演/グレタ・ガルボ ジョーン・クロフォード
ジョン・バリモア ウォーレス・ヒアリー
ライオネル・バリモア ルイス・ストーン 
ジーン・ハーショルト
 

様々な人々が集い、宿泊する、壮大で華麗なベルリンの一流ホテル「グランド・ホテル」。ここには今日も様々な人々が訪れ、ポーターやコンシェルジュは常にせわしなく動いている。このホテルに泊まることのできる人々は、華やかな人生の成功者に見えつつも、実は孤独を抱える人や人生の岐路にたつものなど、様々な悩みを抱える人々であった・・。かつては名声を欲しいままにしていたバレリーナ(グレタ・ガルボ)、「男爵」を名乗りつつも実際は借金を抱えた泥棒(ジョン・バリモア)、余命僅かな男性、事業の危機に瀕している経営者、タイピストの女性速記者(ジョーン・クロフォード)・・。こうした人々が、たまたまこの「グランド・ホテル」に宿泊したことにより、お互いの人生が絡み合っていく・・・。様々な登場人物を絡ませながら見せていくこのストーリー展開は、後に「グランド・ホテル形式」とも呼ばれることになる、人間ドラマの描き方のひとつのスタイルとなった。現実社会において生きる我々の人間模様となんら変わることのないこの映画の人間模様は、時代を超えて、人それぞれが何かしら事情を抱えて生きていることを訴えている。出演者の俳優陣も、グレタ・ガルボ、ジョーン・クロフォード、ジョン・バリモアといった当時の銀幕を飾ったMGMのスーパースターたちの競演ともいえる映画であり、また、登場人物の素晴らしい1930年代のファッション、そして舞台となるグランド・ホテルのロビーや室内のセットが、当時のモダンなアールデコスタイルの様式で大変素晴らしいものであり、そうした部分もチェックしながら観ていただきたい作品。




影なき男 " The Thin Man"

1934年 アメリカ作品
監督/W・S・ヴァン・ダイク
出演/ウィリアム・パウエル マーナ・ロイ
モーリン・オサリヴァン ナット・ペンドルトン

1930年代当時雑誌Esquireにもしばしば執筆していたダシール・ハメット原作の「影なき男」の映画版。発明家のワイナントの娘ドロシーは結婚を間近に控えた身。離婚した父親の発明家ワイナントに夫を紹介した後、ワイナントは発明上の秘密旅行に出かけ、行方不明に。また一方で、ワイナントが離婚した原因となった元女秘書ジュリアが、死体となって発見される。生前の関係から行方不明のワイナントに嫌疑がかかるが、彼は一向に足取りがつかめず、事件は長期化の様相を呈し始める。やがてこの話がワイナントと旧知の仲であった主人公ニック・チャールスに持ちかけられることとなった。探偵業を引退して妻のノラと気ままに暮らすニックは、この事件にはじめ乗り気ではなかったが妻の説得もあり、やがて真犯人を突き止めにかかる。粋な紳士と淑女のコンビぶりを見せるニック(ウイリアム・パウエル)と妻のノラ(マーナ・ロイ)の仲むつまじいながらも、小粋で遊び好きな雰囲気には微笑ましい好感がもてる。ニックはとぼけていながらも、修羅場をくぐってきたと思わせる雰囲気も漂わせており、ユーモアのセンスと、勇気を併せ持ったアメリカのハードボイルドのヒーローの原点を見るような思いがした。また、のウエルドレッサーぶりがなんといっても印象に残るもので、装いの観点でチェックしても30年代のスタイルの参考となる見どころの多い作品である



リッチ・アンド・ストレンジ "Rich and Strange"

1932年 イギリス作品
監督/アルフレッド・ヒッチコック
出演/ヘンリー・ケンドール ジョーン・バリー 
     パーシー・マーモント
アルフレッド・ヒッチコックの英国時代初期に撮られた、コミカル映画。倦怠期を迎えた夫婦が、伯父から財産を生前贈与され、豪華客船で海外旅行に出る。船上でそれぞれ別の男女と知り合い親しくなってしまう夫婦は破局の危機を迎えることに。それぞれが別れる決意をしながらも割り切れないまま二人は別々の旅路をとるのだがー。ヒッチコックの撮った映画にしては、誰にでもありそうな夫婦の倦怠をテーマにした、人間ドラマ。とはいっても、やはりヒッチコック、豪華客船という設定や思わぬアクシデントなど、突飛な出来事を交えながら、コミカルに描いている。夫役のヘンリー・ケンドールの30年代ファッションにも注目。






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