三十九夜 "THE 39 STEPS"

1935年 イギリス作品
監督/アルフレッド・ヒッチコック
出演/ロバート・ドーナット マデリン・キャロル
アルフレッド・ヒッチコックが監督したモノクロ映画の中では最高との噂もある、スパイ・スリラー。とある劇場で銃撃事件に巻き込まれた主人公ハネイ(ロバート・ドーナット)。劇場での混乱の中、一人の女性に助けを求められた彼は、彼女を自宅に匿うことに。彼は彼女が秘密組織「39Steps」に命を狙われていることを明かされるが、その晩何者かに殺されてしまい、ハネイが犯人として追われるはめになってしまう。逃げる途中で巡り合った女性(マデリン・キャロル)を巻き込みながら、何とか無実を証明しようと東奔西走するハネイは、この組織の全貌を暴きにかかる・・。主人公がある日突然トラブルに巻き込まれてしまうという、ヒッチコックお得意のサスペンス映画。主人公ハネイを演じるロバート・ドーナットの着こなしは、冒頭のシーンでのコート姿や、ストライプのスリーピース・スーツ、ツイード地のピンチバック仕様のスリーピーススタイルなど、装いの観点でもみるべきところの多い映画。



間諜最後の日 " SECRET AGENT "

1936年 イギリス作品
監督/アルフレッド・ヒッチコック
出演/ジョン・ギールガット マデリン・キャロル 
ピーター・ローレン ロバート・ヤング 
パーシー・マーモント


ミステリー、スリラーの巨匠、アルフレッド・ヒッチコックがメガホンをとった映画は、どちらかというと米国ハリウッドで花開いた、カラー化後の映画の方が有名で人気が高いが、1930年代に英国で撮られたモノクロ映画も、なかなか味わい深いものがある。
この映画もそんな中の1本。サマセット・モーム原作のスパイ小説「アシェンデン」を基にしたこの映画は、第一次大戦中、英国諜報員として指令を受けてパートナーとなった男女3人が、敵国ドイツのスパイを捜査するという、スパイ・スリラーのはしりとなった作品。一見クールながらもなんとなくとぼけた一面も持つ主人公アシェンデン、ちゃきちゃきとした性格のイギリス娘、とぼけたキャラクターながらも平気で人を殺める恐ろしい一面をもつ殺し屋諜報員。お互いの素性もよく判らないまま指令でチームを組んだ彼らは、現代のスパイ映画にありがちな超プロフェッショナルな雰囲気ではなく、スパイというものが当時何とか戦争に勝利したいがために志願した民間人の中から選ばれたといった「リアリティ」を妙に感じさせられる。他にもニートで茶目っ気のある謎の青年や人格者たる雰囲気を漂わせた英国の初老の紳士といった特徴ある役が登場し、それぞれの役どころのキャラクターと、ヒッチコックならではの演出があいまって、スリリングなストーリー展開をつくりあげている。主人公アシェンデン役のロバート・ドーナットのピンストライプのダブルブレステッド・スーツの装いや、脇役の俳優パーシー・マーモントのいぶし銀の渋い装いと雰囲気にも注目。



第3逃亡者  "Young & Innocent"

1937年 イギリス作品
監督/アルフレッド・ヒッチコック
出演/ノヴァ・ビルビーム デレク・ド・マーニー
パーシー・マーモント
 エドワード・リグビー

海岸で倒れていた映画女優クリスティーンを発見する知人の青年ロバート(デレク・ド・マーニー)は、偶然通りかかった目撃者に犯人にされてしまい、逮捕されることに。隙を見て逃げ出したロバートは、偶然知り合いになった警察署長の娘エリカ(ノヴァ・ビルビーム)と事件の鍵を握る老人ウィル(エドワード・リグビー)を巻き込んで警察から逃れながら犯人を追い詰めていく・・。ヒッチコックお得意の「巻き込まれ型」映画として、「三十九夜」と双璧を成す作品と言える。シリアスで洒落にならない状況に追い込まれながらも、どこかユーモアでウィットに富んだ一面も覗かせるこの映画は、ヒッチコック独自のジョークを感じさせる作品である。主人公のデレク・ド・マーニーや警察署長演ずるパーシー・マーモント、また犯人役のバンドマンの30年代ファッション等も見どころ。






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