Dressing for Spring & Summer
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"Double Breasted Hound's Tooth Check Suit,"
ダブルブレステッド・ハウンドトゥース・ツーピース・スーツ
〜 心地良い春夏の日に装いたいダブルブレステッドのタウンスーツ
思えば30年代スタイルという、紳士服のひとつの様式に魅了されるようになってから、現代では仕事においてのみしか用途のなくなっている「スーツ」に対するアプローチが明らかに変わりました。それは当時の紳士達と同様に、仕事でない場であえてスーツを着るということ、しかもそのオケージョンは現代においては限りなく狭められているにも関わらず、そうしたスーツを装い、優雅な気分でそのひとときを過ごすことに限りない楽しみを覚えます。
今回の装いでご紹介のスーツは、そんなニーズがぴったりとあてはまるスーツです。春夏のスーツにも関わらず、ダブルブレステッドという仕様。しかも胸ポケットはフラップつき、背中は往年のピンチバック仕様という、当時の貴族階級をはじめとした紳士達がタウンスーツとして着ていた、典型的なタイプとも思えるスーツです。
フロントはダブルブレステッド・4ツ釦。胸ポケットは珍しいフラップ付きのもの。春夏のスーツであえてダブルブレステッドというところに、着る期間やオケージョンが限られるだけに贅沢さを感じます。生地はウール100%で、伝統的なハウンド・トゥース・チェック。このハウンド・トゥース、英語でハウンド(=hound)は「猟犬」、トゥース(=tooth)は「歯」の意味で、「猟犬の歯の形をした格子柄」という意味だそうです。なるほど画像では判りにくいのですが実物をよく見ると犬の歯に見えなくもないです。元々は英国の地方毎に存在していた郷士の家柄としていくつもあった地方格子柄(=ディスクリクト・チェック)のひとつだったそうです。ちなみに日本では「千鳥格子」という呼び名で呼ばれており、これはフランス語の「Pied-de-Poule」(ピエ・ド・プル)の訳からとられたものらしく、なるほど柄のひとつひとつが鳥の形にも見え、個人的にはこの呼び名の方をとった日本人の感性にも「粋」を感じます。
背中のピンチバック仕様です。背中の両端、肩から腰にかけてプリーツをたたみ、腰の部分には縫い付けの背バンド、そして腰から背中の上部に向かってプリーツが入っています。このタイプのジャケットは米国では別名「バイスイング・ジャケット」とも呼ばれ、元々はゴルフ用のスポーツジャケット(「スイング自在のジャケット」)として売り出されたものだそうです。画像は、在りし日のヘンリー・フォンダのポートレート。アクションプリーツの入ったジャケットを着ています。
(参考文献:「男の服飾事典」 堀 洋一/監修 アシェット婦人画報社/刊 画像出典:"DRESSING THE MAN Mastering The Art of Permenent Fashion" Alan Flusser/著 Harper Collins社/刊)
今回の装い、スーツ自体が千鳥格子という
モノトーンな柄なので、あえて首元にポイント
をつける意味で、スカーフをもってきました。
水色、ゴールド、ネイビー、パープル、ベー
ジュの色が組み合わさったアールデコ調の
色柄合わせは、30年代スタイルに華やかで
モダンなエッセンスを添えます。
頭には夏用のバスク・ベレーをもってきました。スーツにバスク・ベレーをあわせるのは、このスタイルではかなり難易度の高いあわせ技かもしれません。しかしながら、当時の究極の紳士、エドワードZ世、かのウィンザー公はこんなにもさらりと、バスク・ベレーをスーツにあわせてしまっています。しかもダブルブレストのスーツにコレスポンデント・シューズ、ラペルには花を挿すという、究極の粋な装い。こんな装いで、春から夏にかけてのほんの僅かな心地よい季節に、週末のJAZZ CLUBへ出かけたり、気のおけない友人と小洒落たバーへ飲みに行ったり、美術館でじっくり絵を見たり、はたまた用事もなく晴れた昼間のカフェでボーッとお茶を飲む、なんてことも一興でしょうか?
(画像出典:DORSO No.14 2002年夏号 アシェット婦人画報社/刊)
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