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Gallery3回目となる今回のスーツは、SAVOY dressmaker の沖坂氏にオーダーした、ネイビー無地のシングルブレスト・スリーピースである。誂えるにあたって要望したことは、「より1930年代の英国スタイルらしい薫りが漂う一着を」というものであった。それは全体のライン、トラウザーズの太さ、ラペルのボリューム、肩の袖付、生地の選択に至るまで全てにわたり「1930年代の英国」にあったスーツらしさにこだわり、追求することであった。 |
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上衣のピタッとしたライン、バスト〜ウエストにかけてのシェイプはハンドメイドならではの美しいラインを構築。トラウザーズは腰周りから裾まで適度なゆとりを保ちながらストーンと落ちている。現代のクラシコ・イタリアやモダン・ブリティッシュ・スタイルとは趣の違う、また現代風のモディファイやモダナイズといった余計なニュアンスも一切入らない、往年のヴィンテージ・ブリティッシュの薫りが色濃く漂うスタイルである。
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生地はHolland&Sherryのデッドストックを使用。ネイビーの糸を3本縒りあわせて1本の糸にして織られたもので、大変肉厚でウェイトのあるもの。表は細かい格子の織柄が構成されており、このザクッとした質感が往年のヴィンテージ・スーツを彷彿させる。
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強く絞り込まれた、美しいウエストライン。これだけのラインを構築しているのは、縫製職人による丹念なアイロンワークと手縫いのいせ込み作業の賜物である。一方で、職人にここまでの立体的なライン出しを実現させた
SAVOY dressmaker 沖坂氏のディレクションがなければ、このスーツは完成しえなかったともいえる。氏が長年かけて英国のヴィンテージスーツを何着も見てきた「経験」と「知識」そして「感性」が生かされ、それをうまく実現させた職人双方のハーモニーによって具現化した一着とも言える。当時のスーツのラインには日本が戦後吸収した一般的なテーラリングの技術だけでは表現できない「ドレープ」ラインがあり、それを再現し、構築するためにテーラーとパターンを起こすカッターに細かく要望・注文を出し、修正と調整を繰り返しながらディレクションし、一着のスーツに形作っていく。まさに氏の感性と妥協のないこだわりがひとつの形になった結晶と言える。
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後ろからの画像。絞り込まれた、美しいライン。
裾はヒップにピッタリと沿い、30年代らしい瓢箪型のラインを構築している。
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ジャケット下のウエストコートもタイトに絞り込んだ仕上がり。
裏地は当時のものに倣い、アルパカ生地を使用した。
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バストアップ画像。
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ボリュームのあるピークド・ラペルにカチッとしたショルダーライン。
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シャープな肩線にやや盛り上がったロープド・ショルダー。
ラペルのフラワーホールは手縫いの本開き仕様。
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刺繍によるドット柄のクラバットはかつてのDraper's
Benchにて購入した三ッ巻仕様のもの。
胸元に挿したチーフはクラッシュド・スタイルであわせてみた。
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クラバットを留めるタイスライダーは、エナメルによるアールデコ調のパターンが配されたヴィンテージ。これもかつてのDraper's
Benchで、たまに入荷するヴィンテージものをディレクターの沖坂氏が押さえていてくれた一品。同じく両端の意匠がデコっぽいタイバーもヴィンテージの旧いものをあしらい、1930年代当時隆盛したアールデコテイストを入れてみた。
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「より30年代当時らしい薫りがする英国スタイル」を意識したこのスーツは、恐らく当時においてもそうは見かけないのではないかと思えるような、素晴らしい仕上がりに仕立てていただいた。
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